07


そんな事で休日に赤也君とテニスをする事になった。
まあそれはいい。
学校があれだから変装はしなきゃいけないのは大変だけど
普段ハルとぐらいしかやらないから結構楽しみだし。
なのに、なんでお前はこんな奴を連れて来たんだ。

「わり、先輩にばれた」
「いきなりで悪いな」

あっけからんと謝る二人組。
全然悪いと思ってないだろ。

「赤也が外で試合をする時は傍に誰かいろと精市、テニス部の部長におど……頼まれているんだ」

そうおっしゃる糸目で和風な美人な柳蓮二。
今脅されてると言いかけたな。
親友を何脅してるのだ、あの神の子は!
でも当然の事かましれない。赤也君の赤目モードは対戦相手を傷つけてしまう。
それで出場停止になるのは避けたいのだろう。その為のストッパーか。

「しかし対戦相手が女子だとは思わなかったがな」
「だから草試合だって言ったじゃないスか」

仲いいな、やはり。

「赤也君、一応名前は知ってるとはいえきちんと紹介してほしいな」
「ん?ああ、この人は柳先輩だ。参謀とか呼ばれててデータテニスをするんだ。で、三強の一人」
「柳蓮二だ」
「舞です」

名字は名乗らない。
この人はもしかしたら私、「妹」の存在を知ってるかもしれない。
弦兄には、私からきちんと会いに行きたい。

「んじゃあ、やるか。その後どっか遊びに行こーぜ」
「了解」


赤目になられた時はびっくりしたが結構あっさり勝ってしまった。
あ、柳先輩が開眼した。そしてノートを物凄い勢いで書いてるし!

「舞、お前弱いって言ってたくせに強いじゃねーか!」
「いや、そんな事言われても」
「ふむ、いいデータを取らせてもらった」

柳先輩、貴方は赤目になった時の為にいたんじゃないですか?
赤目になった時に止めようとしたのに上手く防いだから何もしないなんてひどいだろ。

「赤也君は無駄な動きが多すぎるんだよ。スタートダッシュが遅いし。
 スプリットステップで誤摩化してるみたいだけど」
「しかもまだ未完成だしな。しかしよく判ったな」
「そういうのだけは得意みたいです」

テニスは基本観戦しかしないから、その分よく選手の動きをみるようにしているのだ。

「畜生!もう一度だ舞!!」
「え、疲れたからヤダ。私はインドア派なんだよ」
「何度やっても結果は同じ可能性86%」

この後、柳先輩と対戦して(接戦だったけど負けた)
赤也君が柳先輩にこてんぱんにやられて、それから街でショッピングをした。
赤也君はゲーセン行きたがってたけど。ゲーセンにいる柳先輩、見たくない。
合わないし。そもそもゲームしなさそう。

「遅くなってしまったし、家まで送ろうか?」
「いえ、大丈夫です」

もう日は落ちてしまった。
男としてのこんな時間に一人で女を帰宅させるわけにはいかないであろう。
なんとも常識人な発言をした柳先輩の言葉を丁寧に断る。
だって、ハルがいるし。
今朝出かける時に何故か拗ねてたハルの為に肉でも買ってやらないと。
買い物にまさか付き合わせるわけにはいかない。

「そうか、気をつけて帰れよ」

あ。
頭を撫でられた。
しかも微笑んでらっしゃるから文句が言えない。

「ではな、舞」
「あー、はい。さようなら柳先輩」
「何、頭撫でてるんスか!?」
「妹ができたみたいでな、つい」
「……。まぁ、いいっス。じゃーな、舞」
「うん、じゃあね」

ハル、機嫌が直ってるといいな。



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