06


翌日、教室で赤也君はなぜか私に一番に挨拶をしてきた。
朝練があるから周りの人も殆どが登校してきている中でだ。
何か用か。

「はよ、舞」
「おはよう赤也君」
「聞いてくれよ!昨日舞が言ったとうりにしたらマジで怒られなかったぜ!
 むしろ褒められた。あ、でもなんか変な視線送ってきた先輩もいたな……」
「そう。良かったね」
「本当ありがとな」

ニッコニコな赤也君。
そんなに嬉しいのか。
三強を倒すって言いながら懐くのはいいのか。

「あ、俺はテニス部でな……」

べらべらと部活の事を話始める。
主に先輩達の事だ。
幸村部長がスパルタで黒いとか(やっぱりか)
真田副部長がすぐ鉄拳制裁がとんでくるとか。
めちゃくちゃ痛いんだ!というのが感想らしい。
痛いのなら鉄拳制裁されないようにすればいいと思う。
結局、先輩方に様々に文句とか言ってるのに最終的に褒め言葉になってる。

「赤也君はその先輩方が好きなんだね」
「好き?やめろよ気色悪い」
「好きなんじゃないの?」
「う、あ……。嫌いじゃないけどな。尊敬。そう、尊敬してんだ!」

よし、尊敬してるなら丸井先輩と共に桑原先輩にたかるのは止めようか。
聞いてるだけでも可哀想だ。

「お前、テニスやった事ある?」
「私?あるよ。それなりにはできるかな」
「じゃ、練習見に来いよ」
「よしてよ」
「なんでだよ」
「ミーハー、無理。生理的に受け付けない」
「あー……。それじゃあ今度暇な時一緒にテニスしないか?」
「次期エースには敵わないよ」

勝てる自信はあるけど赤也君に対して挑発はいい手段じゃない。

「いいって。ちょっとした息抜きにもなるしな」
「ていうか何で私をさそうの?」
「ん?あー、なんて言うかお前の事は結構気に入ってるんだ。変な奴だけど」
「昨日から、失礼な事を君は言うね」
「恋愛感情じゃねえからな」
「持たれてたらびっくりだよ」

というか一ヶ月も前にはランドセル背負った奴が恋愛なんて早い。
嫌でも意識してしまう年頃なのか。
盛ってるねー。
なんて心の中で思ってみたり。
口に出したら、年寄り臭い言われそうだし。
シャレにならないからね、その発言。



戻る
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -