05


パコンとボールを打ち返される音がする。
放課後、委員会から帰る途中にハルに誘拐されてたのだ。
それから直ぐにストテニへ。

「ねー。ハル最近、筋トレさぼってるでしょ」
「新入部員の教育で自分の時間が取れないんじゃ」
「ハルが?どの口で言ってる」
「これでも面倒見はいいぜよ。でも舞にはわかるか」
「一応、専属だしね」

レギュラーになって人気も出て、ますます絶好調みたいだ。
新入部員の教育は先輩の役目だしある程度はしかたないのかも。
学校でかなりしごかれてるみたいだからそんなに筋肉も衰えてない。
直ぐに戻せる程度。
ハルの専属のトレーナーになって勉強はしたんだ、これでも。

「そう言えばハルの後輩君と仲良くなったかも」
「なんで曖昧な言い方なんじゃ」
「今日一日しゃべっただけだしね」
「で、誰なん?」
「切原赤也」
「あー、あの面白い奴か」
「からかいがいがある、の間違えなんじゃない、の!」

私が打った球がコートに入った。

暗くなってきたからそこで終わりにして帰り始める。
帰ったらハルに練習メニューでも考えてやるか。
家で出来るやつ。

「晩ご飯何がいい?」
「肉」
「却下。野菜食え」
「えー」
「小食のくせになんで肉が好きなの」
「それとこれは関係なか。食べ盛りなんだから当然ぜよ」
「食べ盛りならもっと食べなよ。ハルは食べなさすぎ」
「舞が栄養バランスをきちんと考えてくれてるから問題ないぜよ。
 それよりいいんか?」
「何が?」
「学校の生活ばらして」
「ヒント。私の方がいろいろ有利な条件だし」
「ほーか」

問題ないだろ。
赤也君は先輩方に懐いてるといっても全てを話すわけでもあるまい。

「じゃが、あまりテニス部員に近づくなよ」
「なんで?」
「ピヨッ」

言いたくなかったらすぐこれだ。
一回ハルを軽く叩く。

「何するぜよ」
「プリ」
「……!!」

あ、これ何かいいやすい。



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