03


切原君はまだ幼いせいか、かっこいいと言うミーハー対象になっていない。
だから教室はそういう騒ぎはない。
しかし一年の後半になったら無理だろう。

「舞、委員会行かなくていいの?」
「あー、そろそろ行くか」

綾菜の言葉に頷いて読みかけの本にしおりを挟んで鞄にしまう。
委員会なんて面倒なのに気づけば図書委員にされていた。

因に綾菜は風紀委員だ。
風紀を乱してる子が風紀委員とは。
と言っても制服違反をしているわけでもない。
彼女の場合、裏から手を回して悪戯をしたり困った所を見てニヨニヨしてる。
直接に手を出さないのがたちが悪い。
私はこんな性格だから綾菜にはあまり自ら近づかないかったし悪戯にも何も言わない。
けど気に入られてしまった。
何故だ。
気が合うのは事実だけど……。

「じゃあね綾菜」
「また明日」


「あー、もうわかんねー!!」

図書室に入った瞬間、叫び声が響く。
図書室なのだから静かにしてほしい。
今は運よくというか人が少ない時間帯だからまだいいものを。
マナーを守れマナーを。
て、よく見ると叫んでるのは切原君じゃないか。
その隣で英語の先生が……半泣きになってる。
うん、見なかった事にしよう。
授業が始まって早一週間がたつ。
そしてもうすでに切原君が英語が出来なくなってた。
どんだけだ。
おそらく特別授業なのだろう。

「お、真田!」

先生。
救世主を見るような目で見ないで下さい。

「悪い真田。先生は用事があって抜けたいんだが、切原がな……。
 悪いが見てやってくれないか?」
「私、図書委員ですけど」
「人が少ないから大丈夫だろ。よろしくな!」

そう言って去って行く先生。
職務怠慢だろ、これ。
無視していいでしょうか、これ。
駄目だろうな。
すがるような目をされて、溜め息をついた。
どうせ先生が戻ってくる前の終わらせたいという魂胆だろう。
しかたなく、切原君に視線をやった。



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