05


ハルが学校から帰って私の部屋で放たれた第一声。

「すまん」

別に謝られる事でもないと思う。
私を立海に来させた事に罪悪感を持っている。
それはお門違いと言うものだ。
やっぱりこれは私の心の問題。
ハルが何か気にかける必要はないのだ。
むしろ。

「ありがとう」

お礼の言葉にわけがわからないと言う顔をされた。
私は何かきっかけがなければ今までみたいに弦兄に会おうとしない。
そのきっかけをつけてくれたお礼なのだ。

「解らなくても、いいんだよ」
「……舞に立海に来てほしかったんじゃ。
 来れば気に入ってくれると思ってな。俺の勇姿も見せたかったしの」
「なんとなく解ってたから、気にしてないよ」
「のお、舞」
「なに?」
「舞は俺の前からいなくなったりしないよな?」
「何言ってるの?離れるわけないよ。幼馴染みなんだから、今更じゃん」
「プリッ」

私はハルが離れろと言われない限り側にいるつもりなのに。
だって、大切な身内なのだから。

「じゃ、私は勉強があるから部屋から出てけ」

居候なんだ。
私立に行くのには金がかかる。
特待生で学費免除とかを狙いたい。
ので、落ちる心配はしてないが勉強はしなければ。

「舞なら大丈夫だと思うけどな」
「一応やらないと駄目でしょう」

正直な話。
中学や高校の簡単な解き方を知っているのでかえって小学生の問題が難しい。
というか鶴亀算なんてなんと懐かしい響き。
それにXやらYがないというのも。
公式も使えないし。
いや、公式はその小学校の考え方前提なのでできなくはないけれど。
ちょくちょくこうやれば簡単なのにこれ、小学生じゃ駄目だよなー、なんて事ある。


来年、私の希望どうりに立海に入学したのはまた先の話。



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