04


放課後、宣言どうり私たちはテニスコートに立っていた。

「はっ!」

ハルが返した玉が私の脇をすり抜ける。

「……6-4。ハルの勝ちだね」

自分で言っただけある。
強い。
たぶんお兄様より強い。
私とお兄様は互角だからね。
将来になったらわからないけど。
お兄様は後期熟成タイプ、典型的な努力型だから。

「強いね、ハル」
「舞も強かったぜよ。今までの中で一番のぉ。
 にがてな所をピンポイントで打ってくるし」
「や、それは……。苦手と言うかそこに打つとちょっとラケットの振りが大きくなるんだよね。
 だから次の玉が返しにくくなるんじゃないかな。足の重心の置き方に問題があると思う」
「!他には?」
「他?そうだなぁ……」

思った事をつらつらと言い始める。
ハルはまだイリュージョンはやってないみたいで完璧なオールランダーだ。
それに特に必殺技を持ってないが十分強い。
でも、まだまだ改良の余地はある。

「……このぐらいかな」
「すごいの。お前さん、そういう才能があるんとなか?」
「ない」
「の、舞。俺の専属のトレーナーにならんか」

口頭だけを上げる笑み。
この子、小2だよね?
なんでこんな笑みができるんだよ。

「私は何も出来ないよ?」
「いいんじゃ。見て、弱点を言ってくれればの」
「まぁ、それなら」
「プリッ!……決まりじゃの」

……!

「プリ?何それ」
「さあのぉ」

未来の詐欺師の片鱗を見ました。



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