03


クツクツと笑うハルに首を傾げる。
何か変なこと言った?

「あ、そーいえば、はい」

本日の給食だったパンを渡す。
ハルが給食を食べてない事は先生の噂話で知った。
ハルが授業をさぼる事、給食の時もあまり来ない事。
色々言ってた。
ハルの家の子供だって知って私も問題児じゃないかって警戒してたけど大人しいいい子で良かったと。
大人までそうなのか。
そうだからハルがひねくれたんだ。

「食事はきちんと摂らないとと駄目だよ」
「何でその事を知ってるんじゃ」
「まぁ、ね」

言う気が無いと知ると諦めた様子でパンを食べ始めるハル。
これを渡す為に私はハルを探してた。
餓鬼の相手に疲れたのもあるけど。
きっと屋上にいるだろうと思ったけれど予想どうりだ。

「授業とかさぼっちゃ駄目だよ」
「いやなり。あいつら全員きらいじゃ」
「理由は解るけどね。それじゃあ何も変わらないよ」
「あんな所にいたくない」
「ハルはハルなんだから堂々としなよ。人と違うのは異端じゃなくて個性だよ。
 嫌なら認めさせればいい。きっとありのままのハルを認めてくれる人はいるから」
「舞は?」
「私はとっくに認めてる。もっと肩の力を抜いてゆる〜く生きようよ。
 人生は絶望だけじゃないんだから」
「……」

ハルは軽く人間不信に陥ってるからなぁ。
どうにかならないもんか。

「そうだ、ハルの好きな事は?」
「テニスじゃ」

おお、こいつもか。
もうテニスに目覚めてる。

「じゃ、放課後に一緒にテニスやろ」
「できるんか?」
「まあね」
「言っとくが俺は強いぜよ」
「じゃ、楽しみだね」

パンを食べ終わったハルはしゃぼん玉をしはじめた。
シャボン玉が空に飛んで行っては消える。

「しゃぼん玉って歌があるでしょ?」
「あるな」
「あれって本当は悲しい歌なんだよ」
「そうなんか?」
「そう。子供が幼くして他界した事を悲しみから出来た歌なんだよ。
 明るい曲だけど親の忘れきれない子供への思いがいっぱい込められているのかな。
 子供をしゃぼん玉に例えて、そのしゃぼん玉が壊れずに青空高く飛んで欲しかったんだろうね」
「悲しい歌じゃの」
「でも、愛情がたくさん詰まってる歌でもあると思うよ」

人の思いは一面だけでは語れない。
憎しみが愛に繋がったり、その逆もあったり。
だから憎しみとかの感情だけではない。
ハルも、その事が解ればいいのに。



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