04



「ただいま」
「お帰り、ハル」
「おかえりなさーい、お父さん」
「お帰り」
「何そんな所で固まっとる?」

ネクタイを片手で器用に外しながら私の隣にドスリと座る。

「昔話をちょこっとね」
「コイツらが聞きたがる話なんてロクな物じゃなか」
「そんな事ないけど。偏見だよ、お父さん」
「そう言うならもっと日頃の行いを良くしんしゃい」
「それ、ハルがあまり言えないよね」
「で、何を話してたんじゃ」
「えっとね」
「駄目、お母さん」
「父さんが浮気したって話なり。父さんが中三の時の話ぜよ」
「あー、あれか」

あまり良い思い出がないせいか、嫌そうな顔をするハル。
遥は雅人に文句言って、雅人はどこ吹く風。

「なぁ、父さん。テニス、しよ」
「ん?ええぜよ」
「今日こそ勝つなり」
「まだ百年早いぜよ」

着替える為に出て行く雅人。それを追いかける遥。

「ハルは着替えなくていいの?」
「着替えるぜよ。でも、あー、なんと言うか、うん。
 愛しとうよ、舞」
「知ってる。疑った事ないし、それ」
「プピーナ」
「私も、愛してるよー」

さて、俺も着替えるかの、と言って立ち上げるハル。
雅人はどのくらい強くなったか、私もせいぜい
遥と一緒に観戦させてもらうか。




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