03
翌日、学校にいくととても五月蝿かった。
「おい舞」
「なに?」
「仁王先輩って知ってるだろ!?
その先輩の彼女を見ちまったんだ!」
知ってるよ。
昨日の今日でなんで学校中に伝わってるんだとか思ったよ。
所々で悲鳴が聞こえるよ。
きっと今頃保健室は忙しそうだ。
気絶者が多くて。
ていうかお前が犯人か。
「遠目だからよくは見えなかったけださ。
仁王先輩だから絶対に美人だと思う」
ごめん、それ私。
そして恋人じゃない。
幼馴染みだ。
「そっかー、仁王先輩も大変だよね。
彼女ができただけで学校中の噂の的なんだから。
もてる人はつらいね」
「以外と浮ついた噂がなかったからさ、先輩。
だから余計に噂になるんだろうな」
へぇ、と相づちをうちながら席を立つ。
「何処行くんだ?
授業、始まっちゃうぜ」
「さぼり。保健室に行きましたって言っておいて」
「優等生がそれでいいのかよ」
「優等生だからさぼりってわかんないでしょ。
英語の宿題のプリント見せてあげるから」
「おっしゃ!まかせとけ!!」
「はいはい。期待しておきます」
向かうべきは屋上。
ハルは噂に嫌気がさしてのさぼりだろう。
変装をといて屋上の扉を開ける。
予想どうりにハルの姿を見て口頭を上げる。
「お疲れさま」
「舞、お前さんはいいな」
「何が?心の中ではどうしようか困りものだよ」
「否定、せえへんの?」
「ん?何が」
「何でもなか」
変なハル。
少し疲れてたから一緒に昼寝した。
後日談、と言うかおまけ。
ハルと別れる前に一応頑張ってね、と言っておいたら首をかしげられた。
ほら、だって、ね。
「仁王先輩、また呼び出しされてるんだってさ」
告白ラッシュになるから。
彼女がいるなんて噂を聞いて当たって砕けろって感じなのかな。
皆、頑張るねー。
あと数日続くだろうな。
「学校、休んでしまいたいぜよ」
「駄目だからね」
「……ピヨ」
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