05
結果としてはハルがぎりぎり勝ち逃げした。
本人、というか私の意見なんか聞かずに。
いや、別に一日ぐらいデートしてもいいけどさ。
暇だし。
近づくなって東京に帰ったら結局、会えないと思うし。
あんまり意味のないかけのような。
そして私の人権は無視か?
「約束、守れよ」
「わかっとるよ。
ほな、舞ちゃん。
残念やけれどとりあえずお別れや」
「……はぁ」
さりげなくとりあえずって言ったし。
「あ、それと」
ハルが着替えに居ない間に話かけきて小さな紙を渡された。
「俺のEメールのアドレスや。
携帯は持ってないんやろ?
東京に帰ったらこれで連絡してな」
「いいんですか?」
「約束は破ってへん」
「わかりました」
うーん。
凄い根性。
「舞、帰るぞ」
「ん。わかった。
じゃあね、お二人とも」
後ろから遠山君の
「つまらんー!」
「毒手、くらいたいん?」
「毒手嫌やー!!」
なんて声が聞こえて思わず笑ってしまった。
「舞」
「ん?」
「俺の知らない所で男とあまり会わんで欲しいんじゃけど」
「なんで?」
「プリ」
「すぐそれなんだから」
そんな感じで中学一年目の夏は過ぎていった。
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