05


――そう真田さんは優しげにレギュラー陣の皆に視線をやって言った。
その中に彼女だけではなく彼らの中にある絆の強さを感じる事ができた。
王者立海。
負けは許されない掟の中には彼らにしか解らない思いが籠っているのだ。



そっと、私は月刊プロテニスを閉じる。

「なーに見とる?」

後ろからハルが雑誌を取り上げてその中を見ているとあぁ、懐かしいの、と呟いた。

「俺らが中学の時の物か」
「うん」

あの時からもうかなり時間が流れた。
みんな大人になったし私の名字も真田から仁王に変わった。

「早く行かんと雅人がすねるぜよ?」
「ん」

雅人。
私達の子供。
今は中学一年生だ。
ハルと同じ銀の髪を持っている。
小さい頃にハルの口調をマネしはじめたせいで昔のハルを思い出させる。
性格はどっちかと言うと私に似てる。
雅人もテニスを始めて立海に入学した。

なんの巡り合わせか皆の子供も集まった。

赤也の子供が一番年長だったのに笑ったのは秘密。
全員が父親にしごかれたのか「黄金期」の再来なんて言われている。

「お兄ちゃんは余裕だって言ってたけど
 本当はお父さん達の記録にすっごく敵対心を燃やしてたけどね」
「遥」
「早くいこ、お母さん」
「はいはい」

この子も私達の娘。
現在は小学六年生で来年は立海に入る予定。
なんだかませた子供だけど根っからの悪戯好き。
容姿は私似かな?

「じゃあ、行こうか」

皆も集まっているに違いない。
大人になって会う機会が減ったから楽しみだ。



END



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