03


勝負には勝ち、負けが残酷なぐらいはっきりと別れる。
喜ぶ者もいるし悲しむ者もいる。
厳しいようだがそれが現実。
特に三年生は今年が最後で。
目の前で繰り広げられている、否、いた試合。
青学対四天宝寺。
準決勝だ。

私は今、練習時間をどうにかやりくりして観戦に来ていた。
青学の偵察でもあるし、去年の夏に出会った彼に会いに行く為である。
関東に白石さんが来ていると知って一度は顔を出すと約束したのだ。
白石さんは私が皇帝の妹である事もついこないだメールで知らせた。
それで今日会いに行くと言ったから仲間内に伝わっているだろうとも予測はできる。
でも。
でも、だ。

「あんたが皇帝の妹?」

初対面で財前君はハードルがいささか高いきがする。
すごい警戒してるし。
というか、面倒くさって言ってるし。
なんで、俺がこんな事を……って顔に書いてあるし。

「そうです。真田舞。財前君とは同学年」
「あっそ」

体の向きを変えて歩き出す彼。
ついて来いって事か。

「ねーちゃん!!」

四天宝寺の皆様がいる所にたどり着いた途端に遠山君が飛びついた。
容赦なく。
彼は小柄だと言っても力はある。
それに男女の差もある。
そんなに彼に飛びつかれてふらつかないわけがない。

「こら、金ちゃん!
 いきなり舞ちゃんに飛びつくんじゃないで!」

支えてくれたのは白石さん。
助かった。
久しぶりに会った彼は大分成長して、うん。
爽やかだな。
相変わらず。



戻る
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -