07


仁王のお母さんは予想どおり美人さんでした。
名前は百合さん。
名は体を表すと言うように百合みたいな人で美しい銀髪の持ち主でした。

「ハルはお母さん譲りの髪なんだね」
「そうじゃ」
「ハルって日本人だよね。ハーフとか?」
「いや。母さんのおばあさんが外人での。先祖返りして、それをさらに俺もいでんしたんじゃ」
「ふーん。じゃあその方言は?」
「家は転勤族じゃきに。じゃから変に方言がまざってのぉ」
「九州とかそっちのけが強いよね」
「そうじゃな」

今、ハルの部屋にいる。
迷子で家の場所も解らないからとりあえず泊めてもらうという形に収まったのだ。
百合さんのハンバーグ、最高だった。
寝る場所はこの歳だから一緒に寝る事に抵抗はないけれど普通にハルの部屋をあてがわれました。

「しかし舞が年下だとは思わなかったぜよ」
「そう?」
「同い年か、それとも年上だと思ってた」
「しっかりしてるってよく言われるけどね」

似非幼児だし。

「早く寝ないと明日ハルは学校あるんでしょ?」
「わかっとる」

電気を消して布団に入る。
ハルはベットだけど。

しばらくしてハルが寝付いたのを確認してからこっそり部屋を出て居間に入る。
やっぱりと言うか百合さんがゆっくりとテレビを見ていた。
百合さんも予想どうりとばかりにこちらに気づくとふんわりと笑って隣に座るように手招きされた。
流石、未来の詐欺師の母。

「私が警察に連絡しようとした時に不安そうな顔、してたから。
 でもきっと説明してくれるって思ったから何も言わなかったのよ」

私のちょっとした疑問に答える百合さん。
私は何も言っていない。
しかしこれは黒属性云々ではなくただの観察眼だ。

「それに雅治の前では事情は言いにくそうだったし」
「そこまでお見通しですか」

そう。
私はハルの前ではあまり誘拐されたと言いにくかった。
最初は子供だから言っても仕方無いしそれで混乱されたら困るから。
次にハルはああいう事ばかりを見て来た子だから。
だから誘拐なんて悪意が見えるような事をハルの前で言いたくなかった。
あれでまた機嫌が悪くなったらたまらない。

「舞ちゃんは優しい子ね」
「優しくなんかないですよ。利己的な考えしかしませんし」
「優しいわ。自覚してないだけでね。じゃないと雅治はあなたに心を許さなかったわ」
「まさか。珍しい物を見て判断がつかないだけです」
「雅治が他人になついた所を見たのは始めてよ。あの子は人の心に敏感すぎる」
「優しいからこそ、傷つく」
「そうね。あの子も、優しい子」

ハルは隠しているけど百合さんはとっくに気づいてる。
ハルがいじめられているのを。
それでも何も言わないのは我が子を思ってだ。



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