03


精市先輩の手術の日が決まったのはテストが終わった日。
ちょうど関東の決勝と同じ。
これは原作と同じ。
きっと成功する。
そう信じている。

「できれば決勝には間に合わせたかったんだけどね」

苦笑いする精市先輩に弦兄はそんな事はないと首を振る。

「精市がいなくても我が立海三連覇に死角はない」
「心強いけどそれだと俺が役にたたないって聞こえるな」
「なっ、そんな事はない」
「冗談だよ。まったく弦一郎は単純だなぁ」
「弦一郎が真っ直ぐ馬鹿なのは今に始まった事ではない」
「蓮二まで!」
「でも、みんな頑張ってね」
「ああ」

精市先輩の力は凄い。
本当に抜けた穴はでかいのだ。
誰も言わないけれど。
それを言ったら精市先輩の負担になるから。
本当は「血の掟」も負担ではないのかと思った事はある。
以前からそういう傾向があったとしても。
「血の掟」と呼ばれるぐらいにしたのは私達から。
でも、そんな事はなくて。
本当に解り合っているんだなと思った。
青学も順調に駒を進めてる。
私達は問題なく決勝まで勝ち進める。

後はどこまで行くか。
決して世界の思いどうりになんてさせない。

「そう言えば」
「はい」

弦兄達をさりげなく追い出した精市先輩はにこりと笑う。
この笑顔は絶対何かたくらんでるいい笑顔だ。

「あれから仁王とは何か進展があったの?」
「………。精市先輩は何をしたいんですか」
「舞と仁王が付き合ったら弦一郎の反応が面白そうだなって。
 ほら、俺って基本的に快楽主義者だし?」
「ドSの間違えなんじゃないですか?」
「ふふふふ。
 まぁ、それとそっちの方が丸く収まるだろう?いろいろと」
「言ってる事が解らないんですけれど」
「ん?ほらだって」
「余計な口出しするんじゃなか」
「あ、お帰り」

片手にお茶を持って返って来たハル。

「ふふ、残念」
「全くお前って奴は……」
「ハル?」
「気にせんでよか」
「んー」
「お、終わったぜぃ」

ブン太先輩。
先程まで精市先輩の理不尽な命令で病院周りを五十周してきたせいで息がきれている。

「お疲れさん、ほれ」
「お、サンキュー。珍しく気が利くじゃん」
「……これもやるぜよ、ブンちゃん」
「ガムじゃん!……辛!」
「ククク、珍しくって言葉が余計だったんで天罰じゃ」

ハルの持っているガムの包みを見ると激辛!なんて書いてある。
どこで買ったんだそんなの。
甘党なブン太先輩にはつらいだろうな。

関東大会決勝まであと少し。



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