06


「じゃが、月も雪原も太陽のがないと光る事はできんじゃろ」
「不満?」
「ああ」
「確かに自分だけで輝く力も必要だけどさ。人間一人で生きてるわけじゃないし。
 周りの力を自分の力にできるのも立派な強さだと思うよ」

変なプライドとかそういうので折角の周囲の人の助力とか助言を受け入れないのはただの愚か者。
時に周りの事も受け入れる事も大切な強さ。

「本当、変な事を言うやつじゃな」
「普通だよ、少年」
「少年じゃなか。仁王雅治ゆう名前がきちんとある」

……!
まさかまさかの本物!
なんだこの展開。
王道でも突っ走るつもりか、私。

「私は真田舞。よろしくねハル」
「ハル?」
「あだ名。雅治、長い」
「やめんしゃい」
「嫌」

にらみ合う事1分。
勝ったのは私。
盛大なため息を貰った。
粘り勝ちだな。

「でさ、ハルはなんでこんな時間にこんな所にいたの?」
「長く外にいた方が母さんも喜ぶ」
「解らないよ」
「……その方が友達と仲良く遊んできたみたいに見えるじゃろ」

そうするにお母さんにいじめられているのを心配させない為にこうしてたのか。
お母さん思いだなぁ。
いい子じゃん。
感動にふけってキラキラとした目で見てたらそっぽをむかれた。

「舞こそなんでこんな時間にこんな所にいるんじゃ」
「えー、あー、それはですね」

誘拐されてきました、なんて言えない。

「ひょっとして迷子か?」
「みたいな物かな」

違うけど家が何処にあるかわからないから迷子でも当たってるかも。
随分と壮大な迷子だな。

「俺の家、来るか?」
「え?いいの?」
「母さんもいるし、どうにかしてくれるじゃろ」
「じゃあお言葉に甘えて」

ハルを先頭に公園を出る。
助かった。
野宿はこれで回避できる。

ところであのおじさんどうなったかなぁ……。



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