03


県大会が始まった。
と言ってもこのぐらいだと全然問題なくてすでに関東に向けてのモチベーションをあげているぐらい。
皆もいつもと変わらずで。
相変わらずの日々を過ごしている。
のだが。

「それラブレター?」
「ちょっと、勝手に覗かないで」

綾菜の手から手紙を奪い取る。
によによと見る目がなんとも恨めしい。

「やっと、って感じよね」
「何が?」
「舞って文化祭の時に髪を切って眼鏡も外したでしょ?
 優等生スタイルじゃなくなってから結構人気あるのよ。
 まぁ、テニス部が周りにいるせいで牽制されてたみたいだけれど」

特に仁王先輩とか。べったりじゃん、なんて。
他人事だから笑っていられるんだよね。
ハル達と違ってそんなに告白されなれているわけじゃないし。

「付き合ってみれば?」
「え、ヤダ。面倒。時間削れる」
「恋人といればそんな事思わないと思うけどね。
 本当に好きなら。あのさ、好きな人いないの?」
「……いない」

前に精市先輩に言われた事を思い出す。
あれも文化祭の事だったな。

「そもそも好きって感情がよく判らない」
「んー、ずっと側にいたいって思んだよ。
 側にいるだけで幸せになるし、
 他の人と話してると不安になる。
 そんな人っていない?」

側に、か。
側と言えば語弊はあるけど身内にはそう思う事はある。
でも不安とか感じる人ねぇ。

「そう語れる綾菜はいるんでしょ」
「まぁね」
「誰」
「ひ・み・つ!
 ま、とりあえずお呼出頑張れ」
「これならファンクラブのお呼出の方がましだよ」

だってファンクラブの人達って基本的に一途すぎて馬鹿が多いから。
勉強の方は別として。
そういう頭の良さとは別でしょ。
蓮二先輩とかは両方の意味で頭いいって思わされるけれど。
そもそも弦兄の理論。
テニス部員は文武両道であるべきだという考えに基づいて。
平部員含めて成績悪い人なんて赤也いがいほとんどいないけれど。
成績悪いのを部活のせいにされるのが気に食わないらしい。



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