03


精市先輩と共にクリスマスなんて計画をたてて。
期末を迎えて(赤也は英語の成績が上がった。ここも原作と違う所だ)
病院側に一応の許可を得た方がいいとお見舞いついでに話を通しに行った。

だから今日は弦兄と私だけ。
話を通すのは私の役目で弦兄は先に病室に行った。

「ありがとうございます」

看護士の愛想笑いを受け流す。
さて、病室に入ろうとして中からビンタの音。
それから怒鳴り声。
こ、これは……。
精市先輩が弦兄に始めてビンタを喰らった場面じゃないか。
始めての弦兄の鉄拳制裁をくらった場面。
そして精市先輩にとって最悪な話を知った所。
辛くて、絶望の淵に落とされる。
自分からテニスがなくなるなんて考えもつかない。
皆そうなのだろう。
日常が崩れる日がくるなんて。

「精市先輩」

中に入るとあっけに取られた精市先輩が。

「舞」
「すいません、話は外から聞いていました。
 先輩、一人で背負おうとしないで下さい。
 一人で抱え込まないで下さい。
 先輩には私達がいるでしょう。
 私達はいつでも先輩の側にいます。
 支え、導き、力の限りを尽くしましょう。
 振り返らず、後悔せず、前だけを見て下さい。
 先輩の後ろには私達が居ます。
 なんだって先輩は王者立海テニス部の部長なんですから」
「はは……、今日は真田兄妹に叱られてばかりだな」
「精市、俺達は信じてお前を待つ。
 だから負けるな。それでこその俺達だろう」
「そうだね、苦労をかけた真田」
「全くだ」

腕を組んで和やかなムードなのはいいけどこのままだと絶対に後で精市先輩の顔が赤くなる。
弦兄は容赦ないんだから。
タオルを濡らし精市先輩に渡すと「舞にも苦労をかける」と優しく微笑んだ。

「いえ。苦労とは思いませんよ」

身内の為に働く事がなんら負担になるなんてなった事はないのだから。
それに精市先輩以外に私達を率いられる人なんていない。
率いられるけれど、その分支える。
それがあるべき姿なんだと私は思う。
だから、苦労なんてそんな事ない。




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