02
帰り道、「クリスマス」とブン太先輩が呟く。
「クリスマス、幸村君と病院以外の所でできないかな」
「難しいだろう。
精市が外に出る事が許されるか解らないからな」
「そっか」
「だが病院内なら騒がしくなければできるかもな」
「さっすが柳!サプライズパーティーやってやろうぜ」
「楽しそうスね!」
わいわいと計画をたて始める皆。
クリスマスなんてけしからん、なんて言いそうな弦兄でさえ意見をだしている。
大晦日もなんかやり出しそうな勢いだ。
「舞」
「ん?」
「今年のクリスマスは騒がしくなりそおだの」
「いいんじゃない?」
皆で共に何かをしたいと思う。
当然だろう。
「誰もクリスマスに一緒にいる恋人がいないなんて悲しいと思わないのかの」
「そーゆうハルだって。
遊び人そうとか言われてるくせに」
「見た目のせいじゃろ。俺は女遊びは好かん」
「だろうね。それに今はみんなテニスが大切なんでしょ」
「大人になった時にプロになる奴は少ない。
今はこんなに熱中してるのにそれから切り離される時がくるとは考えられんな」
「皆そうなんじゃいかな。
未来の事なんていつだって解らないし」
「こいつらとも別れる時はくるじゃろう。今は嫌でも毎日会っていても」
「時々、会うぐらいだろうね」
「舞ともそうなるんかの」
「わかんない」
ハルとは小学校のときから一緒だから離れるなんて私も考えられない。
それに未来なんてわからないし。
交通事故で死んでしまったりね。
想像もつかない。
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