05


当ても無く彷徨っていると他の公園にたどり着いた。
ふむ、そうなるとそれなりに歩いた事になるのか。
何となく公園の中を見てみるとブランコに一人の子供が座っていた。
帰らなくていいのか。
お母さんに怒られるぞ。
と、思った所である事に気づく。
銀髪だ。
染めてるのか?
あの歳で?
いや、しかしあの銀髪。
夕日の光でキラキラ光っていて綺麗だ。
染めているようには思えない。
銀髪って言えば仁王だよな。
やる事無いし子供と言えど何らかの打開策になるかもしれない。
と言う事でさっそく彼に近づく。

「ねえ、君」

声をかければ俯いていた彼がゆっくりと顔を上げた。

「なんじゃ」

彼の声は冷たくあからさまに私を拒絶しているように取れた。
それでいて彼の瞳は虚ろでそしてどこか悲しみに揺れていて。
私は言葉を失った。
どうやったらこんな子供がこんなふうになる?

「どうせお前さんも俺の事を馬鹿にしにきたんじゃろう?」

くっと喉で笑う彼。

嘲るように。
見下すように。

「馬鹿にする?なんで私がそんな事を」
「うそを付きなさんな。この銀の髪。この話し方。これだけ周りとちがうんじゃ。
 化け物とバカにしにきたんじゃろう」

人間は自分と違う、『普通』と違う物を排除したがる傾向がある。
だからその銀髪は目立っただろう。
口調は方言だろうが子供にそんな事知る由はない。
ただ純粋に自分達と違うという事だけを見せつけられる。

子供は無邪気故に残酷だ。
大人と違い本能を押さえつける理性が無い。
彼は異端として周りに蔑まれていたのだろうか。
だからこういう目を。

「そう?私はその髪、綺麗だと思うよ」
「は?」

鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をした彼。
身構えてたからその分さらにかな。

「話し方も面白いなー、と思うぐらいだよ」

しかしその話し方、本当に仁王っぽいな。

「気持ち悪くないのか?」
「なんで気持ち悪いのよ。言ったじゃん、綺麗だって」
「きれい?」
「月みたい」
「月……」
「または雪原。どっちも太陽の光を受けて銀に輝くでしょ」
「お前さん、本気で言ってるのか」
「マジだよ、大マジ。本気って書いてマジって読むぐらい」
「そうか……」

そう少しだけ笑った彼。
お、笑うと可愛い。
結構な美少年だし。



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