02


ジャッカル先輩は先生に手当を受けてそれで授業に行った。
要するに今はハルとさぼっている形。
救急箱を戻しにきたと言って保健室にいるのだ。
保険医はさぼりに関して何も言わずむしろ席を空けてくれる。

「ハル」
「大丈夫じゃ。幸村の強い。あれぐらいでどうにかなったりせん」
「解ってる」
「渡瀬先輩はやめるかな」
「そうなる事になりそうじゃの」
「大丈夫かな」

ああいう事態になって辞めさせられたとなると何かと居づらくなる。

「心配か」
「心配だよ。みんな責任を感じる。一度結ばれた縁は切れないから」

彼女を大切な仲間と思っている人もいる。
きっとこの後に悶着はある。

「なんで上手くいかないのかな」
「舞はようやっとる」

そんな事はない。
私がもっと早く動いていたらこんな事態にはならなかった。
精市先輩は強い。
テニスも精神面も。
でもその強さは脆い。
強いは弱さに繋がり、弱さは強さに繋がる。
そういう事だ。
私は皆が笑ってる姿を見ているのが一番好き。
その為には手段は選ばない。そうやって生きて来た。
だから申し訳ないけど容赦はせずに渡瀬先輩にはこの滑稽な舞台を終わらせてもらおう。
後ろからハルが抱きしめてきた事で我に帰る。

「何、ハル」
「なんでもなか」
「そう」
「そういえば髪が伸びてきたな」
「んー、そうかも」

精市先輩に切られた髪はもうハルと同じ位に伸びている。

「じっとしときんしゃい」

ゆっくりと髪を手でハルが梳いてくる。
言われたとうりにじっとしていると髪が一つに結ばれていく。

「ええよ」

振り返るといつも結ばれているハルの髪が解かれている。
と言う事は。

「ゴム……」
「これからはこのゴムを使え」
「私があげたゴムなのに」
「だから明日は舞が使ってたのを持ってきんしゃい」
「交換?」
「ああ」

ハルはこういい出したらなかなか折れないからな。
結構頑固。
老後に頑固じじいって近所の餓鬼に言われてそう。

「ま、いいけどね」

ゴムはそれなりにあるし。



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