04


渡瀬真鈴side

『守られるのって苦手です』
無邪気に笑う彼女の声が耳から離れない。
一つ下の後輩の女の子。
ふわふわとしたお嬢様で、いい子だから他意はないと思う。
そう、綾菜ちゃんはただ雑談のひとつとしてそう言ったのだ。
守られる事は自分自身を守ると言う最低限度の事ができてないって事だからからって。

だからもう一人のマネ、真田君の妹さんである舞ちゃんに尋ねた。
ファンクラブの事を自力で解決したと言う話を聞いて参考にまで聞いのだ。
(それは守られる云々とはまた別の話題で聞いた話だ)
すると全然参考に、と言うか自分のは無理な事で。
表情が豊かではないから恐らくだけど申し訳なさげな、彼女。
そんな事はないと言おうとした所で真田君の声が私の声を遮った。
赤也君が叱られている。
まぁ、いつもの事と言えばいつもの事なので私の視線は自然、真田君に向く。

ああ、やっぱりカッコいい。
しゃんとしたその背筋とか真っ直ぐな瞳が好き。

「私、真田君が好きなんだなぁ……」

ぽろりと、言葉が漏れる。
はっと隣に舞ちゃんがいるのを思い出して。
慌てて舞ちゃんを見ると何を考えてるのかよく判らない表情をしていた。
こういう所、仁王君に似てると思う。
真田君より長く一緒にいたせいかもしれない、時々凄く似てるのだ。

「あの、えっと、その、なんと言うか別に」
「言い訳してどうするんですか?」

淡々と言う舞ちゃん。
その瞳は色を写してなくてぞっとする。

「言い訳するなら言わないで下さいよ。
 言い訳しても言ったという事実を強調するだけです。
 それとも狙ってるんですか?」
「違う、よ」
「そうですか。
 でも、そういう所があるからばれるんです。
 気をつけて下さいよ。
 中途半端に隠すから事が厄介になるんですよ。
 ファンクラブの事とか」

言っている事は私の事を注意してくれてるし
気を使ってくれているのだとは思う。
だって、嫌いなら何も普通は何も言わないから。
隠さないで欲しいとも聞こえるし。

「ごめん……」

でも、それでも私はどこか本能的に警鐘が鳴っている気がしたのだ。




戻る
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -