02


手に持つ資料を持ち直す。
これは蓮二先輩と作った個人データの資料。
今日は図書委員の仕事があったからカウンターで暇つぶしに清書していたのだ。
ひたひたと自分の足音しかしない廊下をのんびりと歩く。
部活は中間テストがあるからないので特に急ぐ理由もない。

そう言えば今日は真田家で勉強会をやるんだっけ。
赤也が嘆いてた。
じゃあ早く帰らないと赤也が可哀想かな。
少しだけど英語も点数は上がってきたしいいか。
私より皆に教わった方が段違いに効率がいい。
そもそも皆はそんなに勉強に必死にならなくてもいいぐらいには成績が宜しい。
よって勉強会は赤也の為と、難関な問題を得意な人に聞く為。
私も参加したいな。
一度習ったとは言え確認したい問題とかあるし。

少しだけ歩みを早くした所で自分の教室から声がした。
綾菜の物だ。

ドアの窓から中の様子をそっと伺うと中には渡瀬先輩と綾菜が対峙していて。
そっと耳を澄ませた所であまり聞こえないから内容までは解らない。
ただ渡瀬先輩の顔色が悪いから綾菜が何かやらかしてるのだろう。
全く、何をしてるのだか。

「綾菜に……渡瀬先輩?何してるの?」

少し悩んだ末に知らないふりをして教室に入った。

「真鈴先輩とお話してて。ちょっと前に知り合ったのよ。
 ですよね、真鈴先輩」
「あ、うん。そうなの」
「もうちょっとお話をしたかったけれどタイミングもいいし、私は帰りますね。
 引き留めてすみませんでした」
「気にしないで。私も楽しかったし」

曖昧に笑って教室を出てく渡瀬先輩。

「いつ知り合ったの?」
「秘密よ、秘密」
「渡瀬先輩に私の名字を教えたの綾菜でしょ」
「ご名答!さっすが舞」
「苛めるのも程々にしておいてね。先輩なんだし」
「苛める?人聞きの悪い事言わないでよ。
 私はただ談笑してただけだから」
「何も気づかないふりしてぐさぐさときつい事を言ってただけ、の間違えじゃない」
「さっきの舞みたいに?」
「気づいてたんだ。別にいいけどね」
「ねぇ、一緒に帰ろう」
「ん」

渡瀬先輩は善良な人だけどその分甘いから少しは言われたほうがいいのかもな。



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