ヘタレ男前な仁王くん



仁王ちゃんは凄く凄く優しい。毎日メールだってちゃんと返してくれるし、朝と 帰りの送り迎えだって欠かさない。髪型や服装を変えればいつだって気づいてく れるし、誰にでも自慢できる自慢の彼氏。




「仁王ちゃん、お疲れ様」

「待っててくれてありがとな」

「ううん、仁王ちゃんのテニスしてる姿好きだから良いの」

「…照れるのぅ」




照れると少しそっぽ向いちゃうところも、私を手をすっぽり包んじゃう大きな手 も、テニスに一生懸命なところも好き。




「そういえば、」

「なあに?」

「また、告白されたんだって?」

「…それは仁王ちゃんもじゃない」

「………」

「私は仁王ちゃんだけだよ?」

「、あんま可愛いこと言いなさんな。襲いたくなる」




俺の自慢の彼女は大層モテる。俺という彼氏がいるということは周知されているのに、それでも気持ちを伝える奴は後を絶たない。

全てが愛おしいと思う。照れる仕草も悩む顔も、微笑む顔も笑顔も少し小悪魔みたいなところも。こんなこんな愛おしい存在に出会えるなんて、考えもしなかった。




「仁王ちゃんの意地悪」

「自分が悪いんじゃ、阿呆」




頭を小突けばくすくすと楽しそうに笑う。コイツは俺が何をされても愛おしいと思ってしまうことを知っているんじゃないだろうか。
だからこんなにも、




「いつまでもこんな幸せが続けばええのにな、」




小さくまるで願いのように呟かれた言葉に驚いて思わず私は仁王ちゃんの顔を見た。仁王ちゃんの表情は自分で言ったのにほうけていて、




「仁王ちゃん?」

「い、まのはナシじゃき!」

「…無しなの?」




それは、嫌だよ。そう呟けば仁王ちゃんの目がみるみる大きくまんまるくなったから、笑った。きっと私たち、今世界で一番幸せだね!




「大好きだよ、ずっと幸せにしてね!」




私が笑ったら仁王ちゃんも笑ってくれる。ああ、幸せだなって思うよ、仁王ちゃん。





柄にもなく思う。永遠が続けば良いと。コイツはずっと俺の隣にいるべきだと。幸せという気持ちは今俺が抱いてるモンなんだと思う。胸が、心が暖かい。




「当たり前じゃ」




コイツが笑ってくれたら、ただそれだけで胸が暖まる。ああ、幸せじゃな、って思う。





いつまでもこの幸せが続けばええのに、



前 次
戻る
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -