短編 | ナノ




お弁当


注意:ヒロインは短編カップケーキの主人公と同一主です。



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朝練前、珍しく時間にかなり余裕を持って目が覚めた。

「水でも飲むか」

イビキのうるさい沢村を横目に誰もいないハズの食堂へ向かう。








「……いやお前、何してんの?」


まだ夜も明けきっていない中、食堂に男が1人。

「いやー…弁当作り?」

「なんでだよ!?」

食堂で包丁を握るのは我がチームの正捕手御幸一也。

「なんでというか、成り行き?」

「…さっぱりわからん」

俺がそういうと御幸は卵をかき回しながら話し出した。







昨日の昼休み、名前の弁当を囲んで女子達数人が話してたんだよ。

きゃー可愛いだの美味しそーだの。

ちょっと興味があって、通りがかりに覗いたらアイツの弁当立体だったんだよ!

「はぁ?立体?」

妖精見たいなデザインで、弁当箱つーか、箱見たいなやつに入れてきてて、立ってるんだよ。3Dなわけ。

「さすが苗字…」

俺もさすがだなと思って、「凄い弁当だな」って言ったら名前のやつが「1口食べる?」って聞くから

「食べたのかよ?!」

「美味かった」

「で?」

「食べた所が白いスカート部分だったんだよ。それで、これ白いけどコロッケ?って話から料理の話になって。」

「…もうなんかツッコミきれねぇよ」




「俺も割と料理好きだけど、名前はやっぱすごいなって言ったら、料理好きなの?って食いつかれた」


今は寮だしほとんど作らないけど、昔はよく作ったから。
そういうと名前は目をキラキラさせて、
何が得意?うわー御幸が作った料理食べてみたいなー!なんて言っできてさ、
多分名前自身も俺が了承するなんて微塵も思ってない、そんな感じで言うわけ。


「なんかそう言われたら作ってやんよ!ってテンションになって安易に約束はした…と?」

「…」

「お前それ…」


話が終わる頃には御幸は弁当を1つ作り終えていて、その日の昼、御幸がグローブ型のサンドイッチを食べているところを見ながら、これはもう御幸の負けだろうな、と思った。
御幸自身が気づいているかは知らないが。



つーか名前は何を思って御幸にこんな幼稚園児みたいな弁当を作って来たんだよ。


とりあえずキラッキラした弁当を時々ニヤニヤしながら食う御幸が可笑しすぎる。




「似合ってるぜ、御幸」

「うるせーよ」


応援する気持ちなんて全くないけどな!!



ヒャハハ!







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