17 May and December 4 知人が最近始めたというダイニングバーに行ったら、注文を取りにきたのが隣家の少女だった。 「こんな酒出すとこでバイトか?」 「店長が友達の叔父さんなの。土日だけだし21時には上がるから」 避けられてから2年ちょっと経っていたが、普通に会話できてほっとする。 久々に間近で見たアユは随分大人っぽくなっていた。軽口でナンパする大学生らしき客もいて眉間に皺が寄る。 バイト上がるときに一緒に帰るからとアユに声をかけると、もう子供じゃないんだけどと言われたが、強引に約束を取り付けた。 そして、何もなかったように昔と変わらずに色々喋りながら帰る。ただ当時毎回出ていたアユからの告白まがいな言葉は一切なかったが。 そうして土日は店に行き、2人で帰るのを繰り返す。 そのうちに夏になり、アユが「もう受験だし、今月いっぱいで店は辞める」今までありがとね、と帰ってきた玄関前で言った。 今までほんとにありがとう、前はそれも言えなかったから今度はちゃんと言いたかったの アユは俯いていたが、やがて顔を上げて微笑した。オレは何故かアユを引き寄せ抱き締めていた。 ああ〜、やっぱりこうなっちゃうのか。おじさんおばさんに何て言えばいいの? オレ。 [prev][contents][next] ×
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