16 May and December 3 ラブホの出入口で片思いの相手に遭遇すること以上にショッキングなことはあるだろうか、いや無い。断っておくが、私はたまたま繁華街にある公園沿いの裏通りを通っていただけだ。この先の隠れ家的雑貨店が目的だったのだ。 「行人(ゆきと)?」 隣の女の人がユキちゃんを伺う。私は固まっているユキちゃんから顔を逸らし、そのまま道を進んだ。あとは振り向かない。 わかってる。私はまだ15歳だ。例えユキちゃんに想いが通じたとしても、ああいうところでああいうことはできない。でもああいうところから出てきたユキちゃんを「フケツ!」などと罵るつもりもない。ユキちゃんは私よりずっと年上でずっと大人なんだから。 結局わかってるといいながら今までわかってなかったのかな。私のユキちゃんへの気持ちってどうだったのかな。 それから私は朝の登校を20分遅くした。今までがユキちゃんに合わせていたから早めだったのだ。あからさますぎるかもしれないけど、離れた方がユキちゃんにもきっといい。 さよなら、ユキちゃん。 [prev][contents][next] ×
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