15 May and December 2 「ユキちゃん!」 同僚と飲みに行く途中、繁華街で腕に巻きついてきたのは、生まれたときから知っている隣家の少女だった。 「アユ、なんでこんなとこにいんだ? おばさん一緒か?」 辺りを伺う。 「ううん、友達と映画の帰り」 見ると、少し離れたところに少年が立っていた。 「デートか」 「違うよ。友達だって言ったじゃん」 向こうはそうは思ってないだろうがな。 「アユこれからどうすんの」 「帰るよ。ユキちゃん一緒に帰ろ」 おいおいじゃあアレはどうすんだ。しかしうん、まあ確かに中学生はもう帰る時間だな。 オレは少年に声をかけた。 「今晩は。オレ隣のおにーさん。もう遅いから(注:まだ18時です)オレがアユを連れて帰るね。じゃキミも気をつけて」 アユもじゃあね、と少年に手を振る。少し意地悪だったかもしれないなと若干大人げなさを反省しつつ、でもまだオトコは早いと開き直った。父親かオレは。 そしてそのときポツンと残された同僚に翌週ロリコン疑惑の噂を流された。殺す。 [prev][contents][next] ×
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