私のどこが好き、と訊いたら「髪が長いとこ」と返ってきたので、手あたり次第のもの（一応壊れなさそうなもの限定で）を奴にぶつけた。
「だ、だって！ 仕方ないだろ周りには髪の短い女しかいないんだもん、髪が長いというだけでうちの男は全員おちるといっても過言ではない！」
　そういうもんなんだよ自衛官なんて、と更にのたまう。そうか、だからやたら髪は切るなとうるさいのか。じゃあ髪さえ長ければ私の中身はどうでもいいのか？
　頭に来たので、その次に奴が陸に帰ってきたときにショートヘアにして会いに行ってやった。どうだ。鼻息荒く仁王立ちして対面すると奴は「か、かわいいな……」と顔を赤らめた。ええ？ 髪が長い方がよかったんじゃないの？ バーカ真に受けるなよと奴は笑い、お前なら何でもいいんだよと、私の薬指に指輪をはめた。髪返せ。






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