icecream lover | ナノ


10 icecream lover
 


 朝から暑い。そうだ、アイスを食べよう買いに行こうそうしよう。気分はストロベリーだったのでパジャマからベビーピンクのカットソーに着替える。ボトムはベージュのショートパンツ。ん、カフェラテとのダブルコーンにしよう。窓をあけて隣家の開いてる窓に呼びかける。
「ねー、アイス食べに行かない?」
 ぼさぼさ頭の男が寝ぼけた半目で顔を出す。
「おごり?」
「おごりじゃない」
 おごりじゃないのに着替えて律儀に外に出てきた彼と、じりじりしたコンクリの上を駅前のアイスショップまで歩く。私は自分の服を指さした。
「今日はストロベリーとカフェラテにするんだー」
「んー……俺もそれにする」
 けれどアイスショップに着いたら彼はチョコミント。あれ? と思ったけど気にしないでいたら帰りに彼の部屋に連れ込まれた。
「こっちのストロベリーとカフェラテ食べる。おごりでいいだろ?」
 そうして私は彼に食べられてしまった。おごりじゃないよ! 



(after word)
連作「67」の中のエピソードを若干改稿して超短編に変えて「小説家になろう」さんにupしたもの。
(「67」は「小説家になろう」さんには載せてません)




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