10 おひとりさまミルクファッジ 疲れた……。 結構大掛かりな依頼を納品して無事終わらせて、なんというか、とにかく、疲れた。 甘いものが食べたい。すごく、すごーく、甘いものが。 思い浮かんだものはひとつ。それを求めて某輸入食品店へ足を運ぶ。でもそれはいつもあるとは限らない。ていうか、いつもはない。たまにある。そう、いつもはない。 ――やっぱりない!! どうしても食べたい。 通販で買えないこともないけれど、値が張るし、何より届くまでのタイムロスがある。 ――作るか。 小鍋に牛乳100mlと切れてるバターを4かけほど入れて火にかける。混ぜていきながらバターが溶けたら砂糖100gを投入。さあ、そしてここからはとろりとするまでひたすら弱火で混ぜますよ! へらでなぞり鍋底が見えてすぐ戻らないような状態になったら、クッキングシートを引いたお皿に流し入れる。夏だと冷蔵庫に入れないとだけど、冬は室内でも固まる。ていうかこんなに鍋に張り付いてるのなんて冬じゃないとできないわ。 固まったら、ナイフで切り分ける。 ひとつ口に放り込むと、ほろりと崩れる食感に、全身に染みわたる甘さ。これだよこれ。 『甘っ!』 自分じゃない声で再生される。うん、まだ声を忘れていない。 [prev][contents][next] ×
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