お世話になっている雑誌の編集さんにきれいな器をもらった。
　縁飾りが可愛いガラスの小さめのお皿だった。

「夏っぽくて可愛いからつい買っちゃったんだけど4枚のセット売りだったの。2枚もらってくれる？」

　ガラスのお皿なんて持っていない、というか必要最低限のお皿しかない。ので有り難くいただく。

　眺めていたら、このお皿に何か入れたくなった。
　そうだ、わらび餅、作ろう。

　片栗粉をスプーンで三杯、砂糖を二杯、水をコップ一杯、全部小鍋にぶち込んでよく混ぜてから火にかける。木べらで混ぜていくと、段々と透明になっていく。この透明になっていく感じが好きだ。すーっと何かが抜けていくような気持ちになる。
　さて、物思いに耽っている場合ではない。透明になったら火を止めるが、止めてもまだ鍋の中はかき混ぜていく。ひとまとめになったらスプーン二本で一口サイズにひょいひょいっと丸めて……すみません嘘です私は手で千切ります……。千切って氷水にぽちゃんと落とす。あとは器に盛って黒蜜(市販)ときな粉をかけていただきます。

　わらび粉じゃないから厳密には片栗餅じゃない？　そう言いながら、でも味の違いよくわかんないけど、と食べた人は、今は側にはいない。

　　

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