今年は災難だった。マスクをしてるせいで彼女がモテまくった。あのちんまりした瞳の下には少し上向きの鼻(かわいい)と結構なタラコ唇(かわいい)が隠されていて、普段なら男たちは寄ってこない。けど彼女の本質を知ればそんなのただかわいいに過ぎなくなるのだ。#twnovel
あー早くマスク外せねえかな！

— 花* (@hana343664) December 31, 2020

「飲み物買ってきた」
彼がマスクを外しながら部屋に入ってくる。
「ありがと」
「いつまでマスク生活かねえ」#twnovel
正直、彼にはずっとマスクをしててほしいと思っている。現に今年は逆ナンが減ったらしいし(ナンパは増えたと聞いたけど)。
「とにかく、外ではマスク絶対外しちゃだめだからね！」

— 花* (@hana343664) December 31, 2020

「わあ、中はキレイ」
「築40年だけどリノベしてるから」
今まで一緒に住んでた(転がり込んできた)彼の、新しい部屋。#twnvday
「結構広いね」
「…いつでも泊まりに来れるよ」
「…うん」
ダメになる前に、嫌いになる前に、一旦離れる。
終わったわけじゃない。ここからが私たちのリスタートなのだ。

— 花* (@hana343664) December 14, 2020

夜も更け口寂しくなったころ、同居人がお湯を沸かし始めた。コーヒーでも飲むのかと思いきや、カップ麺を開けるではないか。
「別に犯罪なわけじゃないし。明日野菜多くとればよし！」#twnovel
そう、別にいいのだ。怒る母親もいない。もう大人だ。
少しの罪悪感と共に、ワクワクと二人で三分待った。

— 花* (@hana343664) November 28, 2020

「朝は米かパンか」
これはクラス中を巡る死闘となった。
票数は同数。マズい、このままでは死人が出る。
そこで担任の意見を聞くことになった。
「え、俺？肉まん！」
―痛み分けであった。#twnvday
「憶えてたの？あれ、嘘だよ」
あれを真に受けて毎朝肉まん出してたら言われた。
早く言ってよー！

— 花* (@hana343664) November 14, 2020

「いらっしゃいませ」
それを求める人の買い方は様々だ。雑誌に紛れさせる人、同じような箱ものと買う人、お菓子や飲み物、下着とともに恋人と仲良く買う人、etcetc…#twnovel
「お願いします」
堂々と単品で置かれた0.02ミリ。
「…」
無言で会計する私に彼はじゃあ待ってるからね、と囁いて去った。

— 花* (@hana343664) October 15, 2020

ゼミの親睦会で高尾山に行くことになった。が当日、高尾山口駅で完全な登山ルックだったのは奴と私だけだった。お前騙したな！？と詰め寄るもじゃあ俺ら下から登りますと奴に引っ張られ結局山道を行くハメに。#twnvday
それから山に嵌り、奴と百名山制覇を目指すことになったのは、また別の話である。

— 花* (@hana343664) October 14, 2020

見覚えのある後ろ姿。いや、あれから何年たった？ボブヘアなんていくらでもいる。でも、あのボブだけは絶対見間違えない。
あのとき、付いてきてくれとは言えなかった。幸せになって欲しいと思ったのは本心だ。でも、もし間に合うなら。
「優子？」
振り向いた君はどんな顔をするのだろうか。#twnvday

— 花* (@hana343664) September 14, 2020

「優子？」
振り向くと髭面の男が立っていた。隣にいた同僚が「間宮の知り合い？」と問う。
「間宮…」男が呟く。くそ。3年前に一人で海外へ行くと言われ、なら私は結婚したいからと別れたのに。何故に私はまだ間宮。#twnovel
笑ってもダメだぞ。ただ、ダイヤの指輪を持ってきたならば考えなくもない。

— 花* (@hana343664) September 9, 2020

とにかく踊るのが好きな男の子だった。
レンジャーのエンディングダンスに始まり、チェッコリに妖怪に、Jにザイルに恋ダンス。全部覚えては私の前で踊ってみせ、そして先日こう言った。
「というわけでそろそろ付き合って」#twnvday
それを聞いた兄がぽつり言った。
「そういやお前ら酉年だったな…」

— 花* (@hana343664) August 14, 2020

隣家から出てきた幼馴染にベランダから声をかける。
「どこ行くのー？」
「川！男バドの連中と！」
「女子はいないんかーい。色気ないね」
「女子はお前で手一杯だよ」
俺はねー他は知らんけどーと言いながらチャリで去っていった。#twnovel
部屋で姉がニヤニヤしてる。
見るな。今の私の顔を見るな。

— 花* (@hana343664) August 9, 2020

普段夜型のくせに高原に来ると早朝に目が覚めてしまう。酒の臭いが充満する部屋から抜け出す。朝靄に包まれるハルニレ、肌寒い空気、独特な朝の匂い。#twnovel
「あ、おはよう」君が木の陰から顔を出す。
「わっ森の精かと思った！」
君は笑うけど、実は結構本気で思ってるんだけどな

— 花* (@hana343664) August 7, 2020

君の幸せを見届けないと成仏できない。
けど幸せってどこまでだろう？結婚したら？妊娠したら？無事出産したら？子供が成長したら？孫が生まれたら？天寿を全うしたら？#twnovel
「何で私だけおばあさんなのよう」
(君からしたら)久々の再会で愚痴られた。
だって君、結局一人なまま長生きするんだもの

— 花* (@hana343664) July 26, 2020

幼いころ、
「これやる。いんせきだぞ！」
と貰ったものはただの石ころだったし、
「これやる。ダイヤだぞ！」
と貰ったものはガラスの欠片だった。#twnovel
「そんなのもう捨てろよ」
「やあよ」
それでも貰ったものは大事なもので、ずっと宝物。
「本物やっただろ」
「それはそれ、これはこれです」

— 花* (@hana343664) July 13, 2020

夜になって今日という日の幕が下りる。けれど目を閉じた彼女の幕はこれから上がる。姫君となった彼女はくまのぬいぐるみを伴に魔王を蹴飛ばし、魔女を叩く。後ろは振り返らない。前進あるのみ。#twnvday
散々夜と戦って、パパとママの戦いも終わる。さて、そろそろ帰ってきてくれないかな？
おかえり。

— 花* (@hana343664) June 14, 2020

一限が休講になったので彼の部屋に行ったら女性が寝ていた。彼曰く、昨夜のゼミ飲みで彼女が潰れ部屋が近かったから泊めた。信じる？信じない？
「…整理つくまで少し距離おきたい」#twnvday
―5年後、自分もそれを経験してやっとわかった。震える指で電話する。穏やかに彼が言った。
「整理ついた？」

— 花* (@hana343664) May 17, 2020

妹の結婚披露宴中に仕事の電話がかかってきたのでそっと抜ける。廊下で話していると隣の会場から花嫁が出てきた。お色直しかな…て、え。#twnovel
花嫁も俺を見て目を瞠る。暫し見つめ合ったあと、彼女は満面の笑みでVサインを出した。
最後の泣き顔が上書きされる。幸せになれよ。俺も親指を立てた。

— 花* (@hana343664) April 23, 2020

いっくんがみちばたのお花をとってそのまん中をちゅうとすった。びっくりした。お花をたべるなんて。いっくんはお花の国の王子さまだったの？「おまえもすう？」そしたらわたしはどうなるの？お花の国のおひめさまになるのかな？#twnvday
そうして大人になった私はいっくんのお姫様になったのだった。

— 花* (@hana343664) April 14, 2020

入学式はしたけど休校状態。クラスのSNSグループはできてたけどぎこちないまま…と思ったらそこに担任が乗り込んできた！全員に自己紹介をさせ毎日出席を取りとにかくウザい。#twnovel
でも何だかんだ馴染めて、そして登校日の朝。
『みんな今日のオフ会遅れるなよ！』
オフ会ちがう。全員突っ込んだw

— 花* (@hana343664) April 9, 2020

「バーカバーカあんたなんか嫌い！」
「うるせえブス！」
ここに犬猿の仲の男女がいた。#twnovel
そんな中、とあるウイルスが地球上に蔓延した。それは好き合っている者同士が一定距離近づくとくっついてしまうというものだった…！
｢あんたなんか…ってキャーなに！？」
｢うわっなんだこれ離れなi｣

— 花* (@hana343664) March 31, 2020

「バーカバーカあんたなんか嫌い！」
「うるせえブス！」
ここに犬猿の仲の男女がいた。#twnovel
そんな中、とあるウイルスが地球上に蔓延した。それは命に関わるものではないが、本心を言ってしまうというものだった…！
「あんたなんか、大好き！って、違…わない！」
｢くっそ、くっそ超可愛い！｣

— 花* (@hana343664) March 25, 2020

「バーカバーカあんたなんか嫌い！」
「うるせえブス！」
ここに犬猿の仲の男女がいた。#twnovel
そんな中、とあるウイルスが地球上に蔓延した。それは命に関わるものではないが、思っていることの逆を言ってしまうというものだった…！
「バーカバーカあんたなんか大っ嫌い！」
「うるせえどブス！」

— 花* (@hana343664) March 22, 2020

僕らは同じ病院で3分違いで生まれた。僕は非常に弱々しく、父撮影の動画には隣の赤ん坊の元気な産声ばかりが入っていた。母親同士は仲良くなったが退院後はそれっきりになってしまったという。#twnvday
そんな僕らは12年後中学で再会を果たす(憶えていたのは母親だが)。そのときの赤ん坊が今の妻です。

— 花* (@hana343664) March 14, 2020

待ち合わせに彼女はマスク姿で現れた。
「あれ花粉？」
「うんまあ。はいコレ」
手作りのチョコ。嬉しい。#twnvday
キスをしようとマスクに手をかけたら何故か異様に抵抗された。なのでムキになって無理やり下げると、鼻の真ん中に大きな…
「試食しすぎたの！」
僕は笑って彼女のそこにキスをした。

— 花* (@hana343664) February 14, 2020

おじいちゃんの喜寿のお祝い。親族の集合写真で当然私は隣に陣取った。
「レナはホントおじいちゃんが好きねえ」#twnvday
まさか孫に生まれ変わるとは思わなかった。
歳の差はともかくさすがに結婚できないし、私はいつか他の人と恋をして結婚すると思うけど、次はまた一緒になりましょうね、勉さん。

— 花* (@hana343664) January 14, 2020