モモ1 | ナノ


なたに語るモモの詩




 Story

犬の散歩で毎朝すれ違う彼。ふとしたことで知り合ったけれどある誤解が…
ツイノベ連作です。



1.その子は私の7歳の誕生日にやってきた。
「ほら、お前の犬だよ。ちゃんとかわいがって、しっかり面倒をみるんだよ」
モフっとした毛。あたたかくやわらかい小さな身体。つぶらな瞳には私が映っている。
名前を付けなくては。この子に合った、かわいらしい名前を。
そう、この子の名前は…
 * * *


2.毎朝犬の散歩で河原沿いをすれ違う同年代ぐらいの彼。こっちはチワプーで、あっちは柴犬?かな?まだ小さい。
もちろん名前も知らない。
そんなある朝、初めてワンコ同士がクンクンし合って、ぐーるぐると。そのうち互いのリードが絡まる事態に!
そうして彼と私は初めて話すことになったのだ。


3.「いつもすれ違ってるよね。名前何ていうの?」
朝の風に負けない爽やかさで彼が問うた。
「ぽ…ぽえむです」
「ぽえむちゃんかあ、可愛くてぴったりな名前だね!」
「えっ」
ドキッとしたが、そう言って彼が目を向けたのはわが飼い犬の方だった。
言えない…ぽえむが私の名前なんて…もう言えない…


4.それからは会うと話をするようになった。
ちなみに彼の犬の名前はヤマトくん。彼の名前は聞いてない。聞いたら私も名乗らなければならなくなるから。なのに!
「ところでぽえむちゃんの飼い主さんはなんて名前なの?」
向こうからキターーッ!
「……渡辺、です」
「わたなべ…さん?」
「渡辺です」


5.名字だけを名乗って名前は回避した!彼の名前もゲットした!田中太郎くん!なんて平凡で素敵な名前!ちなみに同い年!
と、背後から「おおーい、ぽえむ〜モモ〜」と野太い声がするではないか。これは。
「お兄…」
「おっ何だよ彼氏?」
「ちっ違うよ!」
こんなデカい図体して名前はみんとと言う…



続きます→






















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