後付けFATE【1】 | ナノ


後付けFATE【1】
 

 
 

 彼と観た最近人気の役者の主演映画は、それはそれはドラマチックな恋愛映画だった。

普段はそういうのを見ない私でも「わぁ……」と思ってしまうような、運命的な。



 私と彼は大学の同級生で、語学クラスが一緒で、気が合って、段々と二人で出かけるようになって、それでお付き合いに発展したという、まあありきたりな始まりの二人である。


 まあ、こう、運命的な何か! みたいなのじゃないけれど。

 でも別に私は運命論者じゃないし、私たちは仲良くやっているし、大半のカップルがそんな感じじゃないかなと思っている。



 *



 それは、その映画のあと、彼とコーヒーショップのテラスで休んでいたときのことだった。


「あっ生田! 久しぶりだなー!」


 見知らぬ青年が声をかけてきた。彼が一瞬苦い顔をしたので嫌いな相手なのかなと思ったけれど聞くと彼の高校時代の友人だという。

 彼は私を友人に紹介した。するとその友人は遠慮なく上から下までじろじろと人をみた挙句、


「おっ前、好みブレないな〜!」


と、ゲラゲラ笑うではないか。


 初対面の人に大笑いされる筋合いはない。引き攣る私を彼は焦ったように伺うが、目の前の友人はそんな私たちの様子に気づきもせずに爆弾を落とした。











つづきます



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