5年後の告白 成人式の夜。中学の同窓会に参加した。 飲める人たちは飲んで、段々あけすけになっていく。そのうちにあちこちで大告白大会の始まりだ。 「オレ、渡辺のことが好きだったんだよな〜」 「私、実は手塚くんに憧れてたんだよね」 全ては時効。まじでーとかウソーとか歓声が飛び交う、その片隅で。 「俺、中学のときお前のこと好きだった」 隣で何杯めかのビールを片手に、彼が言った。 え? でもあのとき…… 「私のこと、フッたよね?」 そう、告白したのにきっぱり断られたのだ。 「俺の友達がお前を好きだったから」 「……」 「馬鹿だよなあ。でも今もう一度あのときに戻ってもやっぱり俺断ってると思う」 ジョッキを傾けぐびりとビールを飲む。 「でもずうっと忘れられなくてさ。今日はケリつけたかったっていうか……」 そう言うと彼は目線を少し下げた。私の薬指を見て。 「今カレシいるんだろ。ごめんな変なこと言って」 ばかだよ。恋より友情を優先しちゃうなんて。今だって勝手に彼氏に遠慮して。奪ってやろうって思わないの。 自分で買ってつけてきた指輪。フラれたことなんてヘでもないって思われたかった。 でも、こういう人だから。だから、また私から言ってあげる。 「あのね……」 2019.1.15 [prev][contents][next] ×
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