ミズカケロン Story カフェの隣の席で別れ話。を聞いてしまって…? ツイノベ連作です。 @隣の席から別れ話。二股はあかんぞ男…。 彼女がコップを持つ。え!これ頭からぶっかけるやつ!? ハラハラしてたら、彼女は水を男の股間にそっとかけた え、それ何か漏らしたみたいな…え、恥ずい。 彼女の去り際に目が合う。唇に指を立てて、笑った。 職場で再会する5日前の出来事である。 Aそんな衝撃的な出来事があった数日後、バイト先のカフェに新人バイトが来ると聞いてどれどれと見にいくと。 ──股間に水かけの彼女だった。 目が合い思わず股間を手で覆う。彼女はそれで俺に気づいたのか目を瞠ったが、すぐにそれをひっこめ「シー」と唇に指を立てた。 内緒なんですね、オーケイ。 B一緒に働くうちにわかる、彼女の明るさ、賢さ、ユーモアさ。 俺が軽口でからかうと、彼女がコップの水を構える。俺が股間を隠す。二人で笑いあう。 日に日に疑問に思うことはひとつ。なんであの男は二股なんてしたんだろう?彼女は、彼女はこんなに── しかしその件には触れられず半年過ぎた。 Cバイト上がりの夜21時半。彼女と駅まで向かう。いつも改札を過ぎると反対ホームにサヨナラ。それもいつからかもどかしく思っている。 でもその日は、改札前で彼女の足が止まった。何かに気づいたようだ。彼女の視線の先を追うと、若い男、とその隣には小柄な女の子。 …ああっ!あのときの二股男!! Dが、なんと彼女はその二人とニコニコと話し出すではないか!ええええー!なんでーー! それから俺の方を振り返り彼らを「幼なじみと彼女」、彼らに俺を「バイト仲間」と紹介すると「じゃあね」と俺に手を振り、二人と一緒に改札を抜け反対ホームに、去った。 えええええーー!なんでーーーーー!! E翌日、バイト前に彼女に遂に突っ込んだ。あの日のこと。 曰く、2人は幼なじみである。いつの間にか彼女と男がカップル扱いされた。流れで付き合うことになった。彼女は男が好きだった。が。 「あいつにとって私は姉弟みたいなものだったんだ。あいつアホだから恋とかまだわかってなかったんだよ」 F「だから、あいつが彼女のこと好きになって、彼女もあいつに好意を持ってたのに気づいても、私見ないふりしてたんだけど…あいつあの日遂に勇気出しちゃったんだよね」 彼女は笑うが。 「最悪だ。ちゃんと好きでもないのに付き合うなんて考えなしで無責任だ。付き合ったんなら誠実でいるべきだ」 G「ちょっと、あなたはあいつのこと悪く言わないで。あなたには何も悪いことしてないでしょ」 確かにそうだけど。 …いや、違う。そうじゃない。 「悪いこと、したよ」 彼女が首を傾げる。 「あいつは俺に悪いことした。好きな子が悲しめば俺だって悲しい。だから、あいつは俺に悪いこと、したんだ」 H彼女が目を瞠る。二度めに会ったときよりも、もっと大きく。しまった、バイト前のこんなタイミングで言うことじゃなかった。 「いやあの、つまり俺は」 「浮気したら、股間にコーヒーかけるからね」 「…」 それはアイス?ホットだったら身体的にも怖い。 …いや。 そんな心配は、しないでいい筈だ。 ×
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