オセロ | ナノ


オセロ
 


 私は何というか、ちょっとうっかりさんである。
 似たものをよく間違える。シャンプーとボディーソープ、洗顔料と歯磨き粉、リップクリームとスティックのり……。まあどれも死なないから問題ない。
 先日はサンブロックとサンオイルを間違えた。結果見事に小麦色。おかげさまでこの夏はこんがりトースト娘だ。


 そして今コーヒーショップでニコニコと私の目の前にいるのは先日の合コンにいた男子。誰だ彼に私の連絡先を教えたのは。彼は合コンでも一番人気だった。親のどっちかが欧米人とかで全体的に色素が薄い。

「付き合ってくれないかな」
 うっすい男子が言う。
 えーと。
「あの、私の一体どこが気に入ったんでしょう? こう言っちゃなんだけど見た目は平凡と自負しておりますが」
「健康的な肌色が」
「へ」

 曰く、自分のうっっっすいのがコンプレックスなんだそうで。合コンで居並ぶ色白女子の中でトースト娘に目がいったそうで。ついでに凄い食べっぷりもよかったそうで。(誰も相手にしないだろうとヤケ食いしてた)



 ──でも、実は元々色白家系で、冬にはすっかり白くなっちゃうんだけど。

「きっかけは見た目だったけど、今は中身も好きだからもうどうでもいいよ」

 そうですか。










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