美人な彼女の好きな人(後) | ナノ


美人な彼女の好きな人(後)
 


 しかし、姉を攻略して私を落とそうとした人も何人かいたから、今(姉は)見知らぬ彼を姉に勧めても姉は受け付けないだろう。

 なので「いい人そうだからデートしてみる。でも一緒についてきて彼の性格を判断してくれない? 彼にも許可を得ているから」と姉も引っ張り出した。彼を知ってくれれば絶対好きになると思ったから。

 いつも3人でデートする。公園も、映画も、遊園地も。姉に彼の良さをアピールし、彼には姉の魅力をさらに。一緒に出かけることに多少の不純さを含んでいたけど。
 徐々に仲良くなる2人を見ても、大丈夫、私の大好きな2人だから。

 でも知らなかったんだ。
 彼だけを見るあまり、一緒に出かけている半年の間に姉に他に好きな人ができちゃうなんて。そして、その人とうまくいっちゃうなんて。
「あの彼なら大丈夫! これからは2人でデートしな」
 そう笑う姉に、私は何も返せない。



「ごめんなさい。私何の役にも立てなかった」
 そういう私に、彼は気まずげ。

「俺も、ごめん。一緒に出かけてるうちに、彼女より君の方が気になってきて。……あの、俺と付き合ってくれないかな」


 姉の言葉が頭に浮かぶ。

『あの彼なら大丈夫!』

 そりゃそうだ。

 だって私の好きな人だもん。











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