美人な彼女の好きな人(前) | ナノ


美人な彼女の好きな人(前)
 


 私は、モテる。
 これまで16年何度告白されたかわからない。1度だけ付き合ったことがあるのだが、彼が陰で「性格はどうでもいい、とにかく顔」と言っているのを聞いて以来、誰からの告白も断り続けている。

 モテれば当然妬まれるものだが、それが殆ど無かったのは姉のおかげだ。4月生まれの姉と3月生まれの私は同学年で、顔も性格も似ていなくて活発で明るい姉は『告白される方だって大変なんだよ!』『妹は大人しくてめちゃ優しい!』とみんなにアピールし、いつも一緒にいてくれた。
 ちなみに件の彼の暴言を聞いたときも姉と一緒で、姉はその場で彼に殴りかかるという武勇伝を持つ。私は姉が大好きだ。


 そんな私にも最近気になる人がいる。
 学年がひとつ上の彼、あるとき通学バスの中でおばあさんに席を譲っているのを見て以来、目につくようになって。

 ある日、その彼からの言付けで呼び出される。呼び出しに初めてほのかな期待でどきどきしながら、指定の場所へ行くと彼はすごく驚いた顔をした。


 曰く、姉の方を呼び出したつもりだった、と……。


 
 私の元彼に殴りかかったあの武勇伝で姉を好きになったらしい。さすが私の好きな人だ。
 だから私は言った。協力しますよ、と。








つづく!



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