メッセージを消す前に | ナノ


メッセージを消す前に
91 書きたい背中 side story 



 学祭が終わって、散々飲んだ打ち上げも終わって、2時とかに家に帰って、そのままバタンキュー。

 今日は片づけだ。そこまではきちんとやらにゃあかん。疲れた身体に鞭打ってすっきり目覚めるためにも早朝風呂に入る。

 捻った首で背中を見た。みんな見事に描いてくれたな。確か後輩が写真撮ってくれてた筈。後日送ってもらおう。

 背中をナイロンタオルでごしごし擦る。水性とはいえ意外と取れにくい。ごしごしごし。大体落ちたかな、とシャワーで流し、もう一度首を捻って背中をチェック。

 …………あれ?

 腰の、右下の方に、落ちてない文字。おい誰だよ油性ペンかよ。
 普段はコンタクトだから、風呂に入っている今はぼやけてよく見えない。浴室のドアをあけ、洗面台にある眼鏡を取る。かける。文字をチェックする。



    『スキ』



 一気に頭に血が上った。




 これを、書いたのは──。

 あいつだ。あいつが最後にこの辺に書いていた。くすぐったかったし、最後だったから憶えてる。


「マジかよ…………」


 油性ペンの落とし方は実は知ってる。日焼け止めで落ちるのだ。洗面台から姉の日焼け止めを手に取って、そこで……

 落とすのを止めた。


 さて、どうやってあいつに切り出してみようか。





(afterword)
結局直球で切り出したわけですがw

2014.11.4



contents
×