** 売れない作家先生の次なる題材 私は幼い頃から夢見がちの妄想少女だった。 漫画に小説、アニメにゲームにetc、そこから妄想を膨らませてはうっとり。 碌に恋愛もせず全てを二次元に向けてきた。 もちろん現実世界を生きているわけだから、生身の人間とも付き合いはするが正直全部ネタだ。 幼馴染の二人はもちろん、先生に憧れる生徒も、半袖の小学生も、剣道少女も、バンド少年も、近所のお兄さんとその妹分も、全て私の妄想の中に入ってしまえば愛すべき登場人物なのだ。 * 「お前ってそんな感じで誰とでも気安く付き合ってたから結果みんなに好かれてたよな」 そう言って私の仕事部屋に我が物顔で居るのは、中・高時代の同級生で、奇遇にも今は物書きとなった私の担当編集者でもある。 「でも結局誰にも興味ないように見える」 「……」 言われてみて「ふむ」と物思う。 そして何気に彼を見る。 フツーの顔、頭も並、確か運動神経も普通のこれといって個性のない平凡な男を。 ──んん? これを料理してこその作家じゃない? 「今あんたに凄く興味ある」 「は?」 * このあと私たちは色々ありつつ2年後に結婚。その1年後に彼が私との結婚生活のブログを始め、更に2年後にそれが書籍化されバカ売れした。 何でよ! (afterword) 100+1話(あれ?)おつきあいくださりありがとうございました! 2014.10.16 [prev][contents] ×
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