100 キッチン&ダイニング花花 5 あれからすぐにオーナーは入籍して、花花で小さいパーティーを開いた。 店長はあれ以後も全然変わりない。オーナーに文句を言い、俺にキビしい。 そうこうしているうちに、就活の時期だ。本当は辞めたくない。でも色恋で将来を左右されるのも違うと思っている冷静な俺もいる。万一最短で就職先を決めて戻ってきても春にはまた辞めるのだ。店にしても迷惑だろう。 潮時か。 つけ込むようで好きだと言えないまま。 すみませんオーナー、頼むって言われたのに。 バイト最後の日、閉めたシャッターの前で店長と向かい合う。 「お世話になりました」 「こちらこそありがとう。就活頑張りなね」 「はい」 さらば、俺の恋。 ……と、思ったんだけど── 「いらっしゃ……え、バイト?」 「店長! 最短で就職先決めてきました! また春まで雇ってください!」 「え、でも春で辞めるんでしょ。迷惑」 「春からは仕事あがりに無償で手伝います!」 「無償!?」 案の定金に汚い店長は食いついた。わかってるんだ、押しドコロは。そして。 「好きです。だから、店長の傍にいます。ずっとずっといます」 店長は暫くポカンとしてから、あの、花みたいな笑顔で。 「仕方ないなあ。じゃ、とりあえずサラダ作って」 end (afterword) やっぱりガマンできなかったバイトくんw 花花はここでおしまいです。私としてはここでおしまいなのです。が。 多分「ええー、バイトくん…」という優しいかたもいらっしゃると思うので → 花花バイト救済編 2014.10.31 [prev][contents][next] ×
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