79 5番キャッチャー安藤くん 最後の最後で賑やかになった部活も引退しそれなりに経った秋半ば、予選中はまったく構えなかった彼女と(受験はさておき)ゆっくり過ごせるようになった放課後。 「何やってんだ、奴ら」 泉さんがマウンドに立っている。バッターボックスには元相棒・松浦。泉さんの後ろには未だ坊主頭の山下を始め、後輩たちが守備についている。 「私ちょっと訊いてくる」 隣にいた彼女が、事態を見学している女子のところへ駆けていった。 「松浦くんと泉ちゃんで賭けしてるんだって。外野に飛ばしたら松浦くんの勝ちで三振や内野ゴロなら泉ちゃんの勝ち」 「賭けの内容は?」 「勝った方の言うことをきく」 ──松浦が何を言うかは予想がついた。伊達に女房役じゃない。応援してやりたい気もするが、でもまあここは面白い方がいいよな。ていうか俺が楽しみたい。というわけで校庭に乗り込んだ。 「キャッチャーは俺がやろう」 「おい、なんだよ安藤!」 「泉さん、サイン決めようぜ。変化球は何が投げれる?」 「安藤!」 「うるさい松浦。俺は女子の味方だ」 松浦が『空気読めよ』という顔で睨んでくるが、知ったこっちゃない。どうせなら正々堂々告ればいいのに何で賭けの報酬にするんだよ。 バーカ。 (afterword) 野球部の彼らはここでいい加減出番はおしまいです ちなみに安藤くんは1年生のときにちゃんと自分から告白して今の彼女とお付き合いを始めました。 泉さんはもし勝ったらアイス奢ってもらおう〜とか思ってます。 このあとのちょっとオマケ → ☆ 2014.8.27 [prev][contents][next] ×
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