9番ピッチャー松浦くん | ナノ


77 9番ピッチャー松浦くんん
 


 彼は野球部のピッチャー。
 そして私はソフトボール部のピッチャー。

 2年になってクラスが一緒になってからはよくピッチャー談義で盛り上がった。審判によってはストライクゾーンずれるよねとか、9回(ソフトは7回)裏、2アウト満塁フルカウントに追い込まれたときは何を考えるかとか。実はたまに休日一緒にバッティングセンターにいったり、河川敷で本気のキャッチボールをしたりもした。(結構ギャラリーがいた。そりゃ女の子がびっしばし速球投げたり受けたりしてればね)


 そしたら3年の今年、野球部が夏の全国大会予選の決勝まで進んでしまった。彼は一躍ときの人。

 ……結局敗退したけれど、それでも何回も出場経験のある相手校を2失点のみに抑えたのは凄かった。負けても彼は有名人。何だか今はとても話しかけられないような存在になってしまった。女子からの告白も凄いらしい。かくいう私の友達もつい(・・)告白したんだと。

 その友達が眉間に皺を寄せて言う。
「なんて言って断られたと思う?」
 さあ? と首をひねると
「『俺とマジのキャッチボールできる子がいいんだ』だって。絶対無理じゃん!」
「……」


 次の休日、彼が家に迎えに来た。グローブを持って。




(afterword)
全話と同じく、旅行先の甲子園で妄想w


2014.8.25



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