66 夏恋サイダー 4 違う高校に進学した幼なじみ兼恋人が最近おかしい。なんだか男の影がする。 焦った。あんな浅慮で後先考えない、直情的で猪突猛進型の彼女を好くような男が俺以外にいるのかと。 そしたら相手は女だった。ほっとしたものの、気に入らない。 「酷いな。俺のこと忘れて女の先輩に夢中になるなんて」 普段の穏やかな自分を装って言うと、焦った様子で 「ご、ごめん。先輩と瞬は全然違うから」と珍しく彼女からキスしてきた。 うん、悪くない。 でも、少し細工しとくか。 もう一人の幼なじみは彼女と同じ真直ぐな気性で、嗜好も似ている。だから逆に二人は付き合うことなく、俺は彼女とは恋人に、奴とは親友になった。 由花が好いた人間、ということは洋介にもストライクなんじゃないか? そんなわけで夏休みのとある日、ちょっと洋介に弱って見せたところ、正義感強い幼なじみはあっという間に彼女の学校に乗り込んで、あっという間に惚れ込んできた。ここまでチョロいと笑えるのを越して心配になる。 ま、アキラ先輩とやらの好みは知らないから洋介が彼女を落とせるかどうかは怪しいが、とりあえず由花の邪魔はしてくれそうだ。 つくづく扱い易い。弾けたサイダーの様に眩しい、恋人と親友。 (after word) 「ねえ何で最近洋介が晶先輩に纏わりついてんの? 鬱陶しいんだけど。何か知ってる?」 「さあ、知らない」 2014.7.22 [prev][contents][next] ×
|