SUPPONの夜 | ナノ


SUPPONのよる
R15? 


 年が明け。

 ルイが晴れて成人した。

 午前中には城の2階のちっちゃいバルコニーから、集まってくれた国民たちに向かってルイと私のふたりで手をひらひらさせて新年の祝辞と、成人の挨拶をし、お菓子を撒いた(どこぞの国のどっかの地域の文化らしいが、前にやってみたら子どもたちにすっごいウケてそれから慣例化してしまった)。
 そして、それが終わってお昼直前、城の広間では、ルイと私、それから私の両親に幼い弟妹(←双子)、大臣たちにそれぞれの秘書や事務官、あとは城の従業員……侍従に女官に清掃人や料理人、などなどアットホームに勢揃いしている。

「成人おめでとうございます、陛下」
「うん、ありがとう」

 狸じじい……いや、おじいさまが改めてルイに恭しく挨拶をする。その恭しい笑顔の下で何を考えているのかぐらい、わかっている。

 お  世  継  ぎ   カモーン。

 ちらちら私を見ないでよ。
 とか思っていたらおじいさまは半目で眺めている私に向き直って堂々と言った。
「妃殿下もご機嫌麗しく……。というかだな、ぶっちゃけ爺のいいたいことはわかるだろうマリ。さ、さ、今日はもう公務も何もしなくていいからとっとと二人で寝室にでも籠った籠った」

 他の国に聞きたい。なんなのなんなの、こんな感じでいいの? いくないよね? お父さまは何かひきつった笑いしてるよ?
 でも仕方ない、これが我が国。年末も、王室御用達の鮮魚店のご主人が「これで精気をつけてくだせえ」とか言ってSUPPON持ってきてくれた。SUPPON初めてみた。ていうか初心者にSUPPONて、いいの? 逆に倒れちゃったりしないの?

「ていうかまずお昼でしょう。お腹すいた」
「SUPPONの活き造りをご用意しました!」
「もうなんていうか、いろいろ昼からヘビー!!」

 弟妹が、SUPPONの入っているバケツを珍しそうに覗き込んではきゃっきゃと無邪気に喜んでいた。



***



 その夜。

 私とルイは寝台の上で向き合って座っていた。
 ルイはこの2年で更に成長し、すっぽりどころじゃない大きさで私を包み込む。2年前がハンカチでコッペパンを包む感じだったとしたら、今はFUROSHIKIでKIRIMOCHIを包むような感じ。伝わるかなこれ。

「えーと、マリ、じゃあ、いい?」
「うん」

 ルイは私にキスをして。
 なんだか吸い付かれるようなキスになって。
 それで食べられるようなキスになってきて。
 座ってたはずが倒されて。
 気がつけば寝間着を脱がされて。
 それからいろいろと触ってきて。
 なんか、ほんといろいろ触ってきて。うわ、ちょ、ルイ、待っ……
 ……………………
 ……………………
 ……………………
 ……………………
 うぎゃーーーーーー!

「いてっ、ちょ、マリ、噛むな!」
「うううっ! だって! 痛い! ルイは痛く、ないのっ」
「ごめん、痛く、ない……むしろ……」
「ずるい!!」
「いでーーーーっ!」



 とにかく苦労して、なんとか一緒に初陣を済ませたわけだけど、翌朝明るいところで見たら、ルイの首と肩と腕にはくっきり歯型がついていた。それは一部赤く腫れて膿んできて、私の下半身の痛みよりもよっぽど治りが遅かった。



 それからルイは一緒に寝ても暫く私に手を出してこなかった。




────────

(´∀`)



contents










×