リベンジxアシスト | ナノ


46 リベンジxアシスト
 


 
 弁当の蓋を開けたら目に入った妙なモノ。すぐ蓋を閉めた。俺の弁当箱だよな? もう一度そ〜っと開ける。そこには某夢の国の主役であるネズミの形に握った白米が鎮座していた。耳や顔の一部もきれいに海苔でくるんである。そして、なんだ? この複雑な形のウインナーは、ひらひらしたハムは、ハート型の玉子焼きは!
 包んであったハンカチからひらりとメモが落ちた。

『キャラ弁作ってやった。精々有り難く食うがよい 母』

 ババア……! 3日前のケンカの報復か!!

 ぐーと無情にも腹が鳴る。しかし高校生男子がこれを教室で食べる勇気はない。仕方ない購買でパンでも買うか……。

「どうしたの? 食べないの?」
 不意に後ろから声をかけられ、振り返ると委員長がにこにこしながら立っていた。
「み、見た?」
「見た。お母さんが作ったの? すごいねえ」
「や、でもここじゃ恥ずかしくてとても食えねえよ……」
「じゃあ私のと交換しない? 私のお母さんこういうの作ってくれたことなかったから一度食べてみたかったの!」

 そんなわけで委員長の弁当と交換した。弁当箱が小さかったが普通に旨かった。

「そのお弁当私が作ったんだよ」

 何故か更に旨く感じて、腹じゃなく胸が一杯になった。





2014.4.30



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