下戸係 | ナノ


43 下戸係
 


 
「無理に飲まないでいいんだよ?」

 あっという間に恋に落ちた。入学式で勧誘されて、3日後に花見も兼ねて行われた新歓コンパ。慣れないお酒に困っていたらそっと連れ出してくれて公園の隅でお茶を渡され一人じゃ危ないからと一緒にいてくれた。それだけで。
 先輩はいつも飲み会でこっそり庇ってくれた。ウーロンハイと言いつつそれはウーロン茶だったりスクリュードライバーと言いつつオレンジジュースだったり。私は期待に胸を膨らます。

 ──が、何もないまま1年経った。
 今度は勧誘する側で恒例のお花見新歓コンパに新入生を誘う。そしてその中にはやはりお酒が飲めない新入生の女の子がいて。先輩はこっそり彼女を連れ出す。やっぱり誰にでも優しいんだ、私にだけじゃないんだ……。
 戻ってきた先輩は「お前もだろ」と今度は私を連れ出そうとした。いいえ飲めます。この1年で鍛えられたんです。見ててくださいもう庇ってもらわなくても大丈夫。

 結果、酔いつぶれた私は先輩のアパートのベッドで目を覚ました。私の悲鳴で起きた隣の先輩は「だから目が離せないんだよ。お前の係は俺なの」とそのまま私を抱き込んだ。
 新入生のあの子はすぐ他の係にお願いしたらしい。



(afterword)

未成年の飲酒、ダメ、絶対!(*`・ω・´*)

2014.4.28



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