34 マケズキライ 4 三郎への気持ちを自覚したものの、散々威張って連れ回して蹴散らかしてどうして今更言えようか。女王様よりお姫様がいいに決まってる。勝負も終わりにしたい。しかしいきなり終わりにするのも不自然だから、三郎に勝たせてしまおう。 「三郎、勝負しよ」 最後の勝負は、最初の勝負だったエアホッケー。勝てよ、三郎……! しかし無情にも私が勝ってしまった。こんなときでも勝ってしまう自分が憎い。いや最近気づいたのだが、実は私は手抜きができないという厄介な欠点があった。 「三郎、もう勝負はおしまい」 え? と三郎が目を瞠る。 「三郎が勝ったらおしまいって言ってたでしょう? 今日で終わり」 「なんで? ニコちゃんが勝ったじゃないか」 私は首を振った。 「先に惚れた方が負け、って言うでしょ?」 言った。言ってしまった。 ところが三郎は、声をあげて笑ったのだ! 人の告白を! 真っ赤になってワナワナしている私の手を三郎が取る。 「残念、ニコちゃん。やっぱり君はどうしても勝ち続けてしまうらしい」 「へ?」 「俺は入学式でニコちゃんに一目惚れしてるからね。俺の負けでしょ?」 結局、私は三郎には敵わない、ということらしい。 [prev][contents][next] ×
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