02





ひどく狭いところに閉じ込められている。
出たくても、出られない。
かろうじて指先が動くが、体はまるで身動きがとれず。
薄い酸素の中、息が荒くなっていく。
光はない。
どうしようもない絶望感と、孤独のなか、叫びだすが声は届かず。


過呼吸のような、浅い呼吸音がひ、ひ、と唇から漏れ出して。
バチン!と勢いよく頬をぶたれる感触に、体が動いた。飛び起きるというのはこのことかと思うほど、体がベッドの上で跳ね上がる。自分が眠っていたのだと、認識したのがこのときで、さきほどのものが夢であることをいま理解した。肩で大きく息をしながら、さきほどの夢を思い返し、それからにぶく痛む頬に自分の手をあてがう。ベッドのシーツを穴が空くほど見つめていたツナは、ひとしきり深い呼吸を繰り返したあと、視線をあげた。自身の家庭教師、リボーンが頬を殴ったのだろう。小さな姿が自身の足元に仁王立ちでいた。いつもはニヒルに笑うくらいの、表情の大きく変わらない家庭教師がどこか心配そうにも見えて。

「うなされてたぞ」

と、だけ口にする。じっとり汗ばんだ肌着、未だ色濃く記憶に残る夢だったはずのそれは、ツナを震え上がらせるには充分で。目覚めたのは夜中だったのにも関わらず、眠りにつくことが出来なかった。

次の日、ツナは誰が見ても満身創痍といった様子だった。顔色は青さを通りこし、白くなっている。登校中にツナを見つけて学校までの道のりを共にする、獄寺と山本がぎょっと目をむいたくらいだった。


「十代目、ホントに大丈夫ですか?」
「うん…、まあ、寝不足だしなんとか」
「ちょっと寝不足って感じの顔色じゃねーけど、保健室とか行くか?」

本当に心配そうにツナを気遣う二人に、でも眠るとまたあの夢を見てしまいそうでとは、さすがに言えなかった。夢の出来事を怖いと言っていいのは小学生までな気がする。肩にかけた学生鞄の取っ手を固く握りしめるツナの姿に、いつもは喧嘩ばかりの二人も、神妙な表情で顔を見合わせていた。


-3-


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